こんにちは。神戸の老舗妊活サポート専門ショップ「ながいきや本舗」店長兼不妊カウンセラーのマツムラです。
ようこそ、妊活ブログへ!
どうぞ最後までお付き合いくださいね。
ながいきや本舗では、毎回テーマを変えて皆様にアンケートをしているのですが(こうのとり調査隊)、最後に、これから聞いてみたいこと、知りたいことを書いていただいています。
その中で「着床前診断について知りたい」というお声がありました。ながいきや本舗に寄せられるお電話でのご相談でも、それについてのお話を頂くこともあり、当事者の方々の関心の高さが伺えます。
「着床前診断」は、その治療法や有益性について、また、実施に対して様々な意見がありすぎて、扱いが難しいなあと感じていたため、正直ずっとブログに書くことをためらっておりました。
でも、お客様からのご要望も高くなってきたので、逃げるわけにはいかなくなりました。
ですので、今回と次回と2回に渡り、私なりにまとめてお伝えしようと思います。
まだまだ進行形の検査です。考え方もいろいろです。今時点の、一つの参考としてお読みいただけると幸いです。
着床前の受精卵の検査
着床前の受精卵の検査は、夫婦のどちらかが遺伝性の病気の保因者である場合に受ける着床前診断(PGD)と、夫婦とも特に原因はないが偶然起きる異常を調べるための着床前スクリーニング(PGS)の2種類に分類されます。
今回は、着床前診断(PGD)についてご説明します。
着床前診断(Preimplantation Genetic Diagnosis PGD)
着床前診断は、ある特定の遺伝子異常や染色体構造異常がないか、受精卵を調べる医療技術です。
重篤な遺伝病や染色体転座に起因する反復流産、及び習慣流産が対象となります。
PGDの利点
内閣府の総合科学技術会議の一組織である、生命倫理専門委員会の最終報告では、着床前診断の利点として
- 母親の負担の軽減
- 遺伝病の子を持つ可能性のある両親が実子を断念しなくてすむ
- 着床後の出生前診断の結果として行われる中絶手術の回避
を挙げています。
PGDはどこで受けられるの?
ただ日本においては「着床前診断は、誰でもどの婦人科クリニックでも受けられる」というわけではありません。
日本の産婦人科医が所属する、日本産科婦人科学会の承認が必要です。
以下、平成27年6月に出された日本産科婦人科学会の見解をご紹介します。
「着床前診断」に関する見解(抜粋)
受精卵(胚)の着床前診断に対し、ヒトの体外受精・胚移植技術の適用を認め、実施にあたり遵守すべき条件を以下に定める。
1.位置づけ
着床前診断(以下本法)は極めて高度な技術を要する医療行為であり、臨床研究として行われる。
2.実施者
本法の実施者は、生殖医学に関する高度の知識・技術を習得した医師であり、かつ遺伝性疾患に対して深い知識と出生前診断の豊かな経験を有していることを必要とする。
また、遺伝子・染色体診断の技術に関する業績を有することを要する。
3.施設要件
本法を実施する医療機関は、すでに体外受精・胚移植による分娩例を有し、かつ出生前診断に関して十分な実績を有することを必要とする。
実施しようとする施設の要件は、細則に定めるものとし、所定の様式に従って施設認可申請を行い、本会における施設審査を経て認可を得なければならない。
4.適応と審査対象および実施要件
1) 適応の可否は日本産科婦人科学会(以下本会)において申請された事例ごとに審査される。
本法は、原則として重篤な遺伝性疾患児を出産する可能性のある、遺伝子ならびに染色体異常を保因する場合に限り適用される。
但し、重篤な遺伝性疾患に加え、均衡型染色体構造異常に起因すると考えられる習慣流産(反復流産を含む)も対象とする。
2) 本法の実施にあたっては、所定の様式に従って本会に申請し、認可を得なければならない。
なお、申請にあたっては、会員が所属する医療機関の倫理委員会にて許可されていることを前提とする。
(詳しくは、こちらをご覧ください http://www.jsog.or.jp/ethic/chakushouzen_20150620.html)
PGD実施までのステップ
着床前診断を希望した場合、日本産科婦人科学会より着床前診断の受診が容認され着床前診断が実施されるまでに、以下のようなステップが必要となります。期間は4-6ヶ月かかるようです。
- カップルのどちらかの染色体構造異常が、習慣流産の原因であると確定
- 「PGDが必要」と担当医が判断
- 日本人類遺伝学会の認定医によるカウンセリングを受ける
- 施設内倫理委員会より承認を得る
- 日本産科婦人科学会に申請し、認定を受ける
- PGDを実施
次回は、もう一つの「着床前スクリーニング(PGS)」についてお話いたします。
よかったらまたお読みくださいね。