「自律神経ってなに?<その1>」の続きです。
交感神経・副交感神経の2つはどちらがいいという訳ではなく、状況に応じてバランスよく切り替わる状態が理想的です。
昼間は活動する時間帯なので交感神経が優位、夜は家に帰ってリラックスしたり寝る時間帯なので副交感神経優位、と適切に適度に働くと、健康が維持できます。
大切なのはバランス
でも現代人の生活は、交感神経優位の時間が必要以上に長くなっています。
交感神経のスイッチが入るタイミングとしては、日中活動時だけでなく
・興奮したとき ・驚いたとき ・ストレスを強く感じたとき
・緊張したとき ・不安を感じているとき ・危険を感じたとき
・スマホを見ている時
などがあります。思い当たる節がある方も多いのではないでしょうか。
「じゃあ、副交感神経優位の時間が長ければ長い方がいいの?」と思われるかもしれません。ですが、そうではないのです。
副交感神経はリラックスの印象が強いので「体に良いもの」と思われがちですが、副交感神経のはたらきが強すぎたり、適切なタイミングではたらかなかったりすると、不調の原因になります。
自律神経が乱れるワケ
自律神経が乱れる原因は、いろいろとあります。
■ストレス
日々の生活の中で、悩みや不安、強いプレッシャー、その他さまざまな要因のストレスが続く、ということは、交感神経系が優位な時間帯が長い状態が続いている、ということです。
その分、副交感神経優位の時間があればいいのですが、なかなかそうもいきません。
このように交感神経と副交感神経とのバランスが崩れると、自律神経が乱れます。
■生活習慣
夜逆転の不規則な生活や偏食、睡眠不足のような生活習慣の乱れは、交感神経が優位になる時間帯が長くなることにつながります。
例えば、夜遅くまでスマホやタブレットを見る行為は、本来、睡眠前は副交感神経が優位のはずのところを、無理やり交感神経側にバランスを振る行為ですので、注意が必要です。
また、過度な偏食は栄養状態が悪化するだけでなく、自律神経のバランスを保つために必要な栄養が摂取されないことにつながるため、注意を要します。
■腸内環境の乱れ
腸と脳は直接やり取りをしています(腸脳相関)
なので、腸内環境が乱れると脳の視床下部にも伝わり、そこから自律神経が乱れます。
■疾患
発熱や痛みといった疾患は自律神経系に影響を及ぼし、疾患が原因で自律神経が乱れる場合もあります。
PMSや月経痛も、自律神経のバランスを乱す一つの原因となります。
■ホルモンバランス
自律神経系と女性ホルモンを制御する分野は、どちらも脳の視床下部に存在します。
指令元が同じ場所にあるため、自律神経系と女性ホルモンは互いに影響を受けやすいのです。
先程「PMSや月経痛も、自律神経のバランスを乱す一つの原因」と申しましたが、女性ホルモンのエストロゲン自体に自律神経を活発化させる働きがあります。
よって、月経や更年期などでエストロゲンの分泌量が大きく増減すると、自律神経のバランスも崩れやすくなります。
■からだが冷える
からだが冷えると交感神経が優位になり、血管が収縮し、血流が悪くなります。
血流が悪くなると、先に胃腸などの血流が優先される手足まで血流が回らなくなり、手足の先の冷えを感じます。
血流が悪くなると、栄養や酸素など必要なものが臓器に行き渡らないので、からだが不調になるという悪循環が生まれます。
自律神経の乱れと月経の関係
ストレスは脳の視床下部にダメージを与えることで、自律神経のバランスを乱します。
そうすると、自律神経系と女性ホルモンを制御する分野は、どちらも脳の視床下部に存在し影響しあっているので、自律神経のバランスが乱れると女性ホルモンの分泌も乱れ、月経不順が起こりやすくなります。
自律神経と更年期
更年期に入ると、卵巣機能が低下して、女性ホルモンの分泌量が激減します。
脳は女性ホルモンの量を増やそうとして、盛んに視床下部から卵巣に指令を出しはじめます。
視床下部からの指令が過剰になると、同じく視床下部に存在する自律神経系の指揮系統にも影響が出て、自律神経系のバランスが乱れやすくなります。
更年期にいろいろな心身の不調を感じやすいのは、ホルモンバランスの変化による自律神経の乱れが原因なのです。
自律神経を整える方法
◎交感神経優位の時間が長い(不安・心配・ストレス過多、寝る時間が短い、スマホの見過ぎなど)と思われる場合は、意識的に休養や睡眠を取りましょう。
◎いろいろな栄養をバランスよく摂りましょう。
◎腸内環境を整えましょう。
◎からだを動かしましょう(※負荷が高くなくても、無理なく継続できることが大切!)
◎からだを温めましょう(血流を良くする、ということです)
自律神経を整えることは、妊活や更年期などの人生のステージや、女性男性という性別にかかわらず、健康に生きるために大切なことです。
アクセルとブレーキを上手に使い分けながら、心身の健康を保っていきましょう。