この論文の要旨について簡単に分かりやすくまとめてみました。
【論文タイトル】
免疫機能不均衡の難治性不妊症における『イムバランス』の免疫調整による妊娠率改善効果
著者:濵嶋暢昭1、小塙清2、天海智博11)ニチモウバイオティックス株式会社、2)医療法人小塙医院
『アレルギーの臨床』2022年4月号にて論文掲載
【研究の目的】
目的1.
妊娠した女性の免疫比を調査し、Th1とTh2の比率が妊娠に関連しているかを明らかにすること。
目的2.
Th1とTh2の比率が妊娠に関連しているならイムバランス®を飲んだ不妊患者の妊娠率に影響があるかを確認すること。
つまり、イムバランス®を飲むことで、免疫不均衡の難治性不妊女性の妊娠率を改善することがあるかを調べることが目的です。
※Th1は、細菌やウィルスを担当する「Th1細胞」のこと
※Th2は、ダニや花粉、カビなどを担当する「Th2細胞」のこと
「Th1」と「Th2」のバランスが崩れ、「Th2」が優勢になると、花粉症などのアレルギーを引き起こします。
「免疫バランス」とは、この「Th1」と「Th2」のバランスのことを指します。
「イムバランス」の免疫についての働きの一つを分かりやすく解説!
【実験の方法】
1.まず最初に、胚盤胞移植患者185例(28~46歳)の Th1とTh2の比を調べ、妊娠した方々の比を並べて、免疫比正常範囲(妊娠できた比の範囲)を推定します。
こうすることで、比が範囲内に入れば妊娠率が上がる、というという推定ができますね。
その上で
2.胚盤胞移植患者64例(31~42歳、平均36.9歳)を Th1/Th2 比で値が低いグループ(6.9以下)、値が中程度のグループ(免疫比正常範囲(中値)7.0~12.4)、値が高い程度のグループに(12.5以上)の3グループに分けます。
3.3グループそれぞれの患者さんに「イムバランス」を毎日1500mg、6ヶ月間飲んでもらいました。
4.6ヶ月後、Th1とTh2の比と妊娠率を検討しました。
【ポイント!】
妊娠例での免疫能 Th1/Th2 比の範囲は7.0~12.4(9.80±2.02)でした。
この範囲の中だけで妊娠が確認されたため、これを免疫比正常範囲(中値)と推定しています。
【実験の結果】
①胚盤胞移植患者の全体の妊娠率は、29.7%(55/185)から56.3%(36/64)へと、大幅に改善しました。
②特に 、Th1/Th2 比が免疫比正常範囲(中値)7.0~12.4となった患者数は、摂取前の13例から摂取後には46例と約3.5倍に増えました。
さらに、その妊娠率は73.9%(34/46)と高い値を示したことから、イムバランスを6ヶ月間、1500㎎ずつ飲んだ患者では、免疫比が改善され、妊娠率も大幅に上昇しました。
生殖医療でも女性の体にとって男性の精子は異物そのものです。卵子と精子は結合して受精卵(胚)になり子宮に着床しますが、受精卵もまた半分は男性の染色体が含まれるため女性の体は異物として認識します。
花粉症などアレルギー症状が強い体質では生殖機能の拒絶作用も強く働くことが想像され、すべてではありませんが妊娠しにくく流産しやすくなることもあります。
https://www.ivf-ibaraki.or.jp/20150404/1567.html 医療法人小塙医院Q&Aより抜粋
このように免疫という一面からみると本能的に自分自身の体が精子を異物と判断してしまうこともあります。
免疫の異常である花粉症やアレルギー体質は出来れば改善しておきたいところです。
日頃の食生活や生活習慣だけですべてを解決ることはなかなかできません。
沢山の情報から上手に活用できるところは活用しながら、妊活に活かしていければいいですね。
その他「イムバランス」論文発表
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「イムバランス」の免疫についての働きの一つを分かりやすく解説!