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免疫と妊娠との関係

よく耳にする「免疫」という言葉。

細菌やウイルスなどの「異物」から、体に入ってくるのを防いだり、排除したりして体を守る働きのことですね。

この免疫は、妊娠成立にも大きく関わっています。

今回はそのお話です。

まずは、からだの免疫システムについて簡単にご紹介します。

 

免疫の主役は白血球

「血液」は、赤血球、白血球、血小板の細胞成分(血球ともいう)と、血漿(プラズマ)と呼ばれる液体部分から成り立っていますが、

その中の「白血球」が免疫システムの主役です。

白血球は、さまざまな免疫細胞で構成され、内訳は大きく3つに分かれます。

全体の54~60%→顆粒球
2.35~41%→リンパ球
5%→マクロファージ

 

白血球の働き方

まず病原菌が体に侵入したら
マクロファージがその“敵”を食べ始めます。
同時に、顆粒球やリンパ球に「こんな侵入者がいたぞー!」と“敵”の存在を知らせます。
知らせを受けた顆粒球は、それが細菌などの比較的サイズの大きい“敵”だったら、飲み込みます。
(傷口が膿んだり、風邪の終盤に黄緑色の鼻水が出たりしますが、それは顆粒球が病原菌と戦ってくれたサインです)

でも、ウィルスや花粉などの小さい”敵”は取り逃してしまいます。

そこで、小さい”敵”はリンパ球(ヘルパーT細胞、キラーT細胞、B細胞)が対応します。

 

リンパ球って?

小さい敵と戦うリンパ球には3種類あります。

ヘルパーT細胞・・・リンパ球チームの司令塔。マクロファージから「こんな敵(抗原)がいたぞー!」と敵の特徴についての提示を受けると、リンパ球チームのキラーT細胞とB細胞へそれを伝えます。

キラーT細胞・・・抗原を分解します。

B細胞・・・抗体をつくって敵を排除します。

例えば、おたふく風邪やはしかなど一度かかった病気に再びかかることはめったにありませんが、それはB細胞がその敵(抗原)の特徴を記録しているからです。
そのデータがあるために、二度目に同じ抗原が侵入したとしても、素早く抗体をつくって退治することができるのです。

 

免疫には「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類ある

入ってきた異物に対して、まずは自然免疫が働き、取り逃したものを獲得免疫が処理します。

自然免疫は、マクロファージや顆粒球が担当していて、常設のパトロール隊のようなもの。
感染を繰り返しても抵抗力は高まりません。

獲得免疫は、リンパ球(ヘルパーT細胞、キラーT細胞、B細胞)が担当している免疫。
B細胞は抗体をつくって敵を退治するため、感染を繰り返すと抵抗力が高まっていきます(敵の特徴を記憶するデータが増える、ということ)
アレルギーに関わっているのは、獲得免疫です。

 

獲得免疫「Th1細胞」と「Th2細胞」の働き

獲得免疫であり小さい敵と戦うリンパ球。

そのチームの司令塔であるヘルパーT細胞には「Th1細胞」と「Th2細胞」の2種類あります。

病原体の知らせを受けたヘルパーT細胞は、病原体が細菌やウィルスの場合はTh1細胞に、病原体が花粉、ダニ、カビなどの場合はTh2細胞に変身します。

Th1細胞・・・ウイルス・細菌・細胞担当(細胞性免疫)

Th1は細胞やウイルス等の異物に反応します。異物を発見するとB細胞(抗体を作ってくれる免疫細胞)へ抗体を作るよう指令を出し、異物を排除していきます。

Th1が指令を出す時に、産生されるサイトカイン(細胞から分泌されるタンパク質主体の物質)をインターフェロンガンマ(IFN-γ)といいます。

Th2細胞・・・花粉・ダニ・ホコリ・アレルゲン物質担当(液性免疫)

Th2は花粉やダニ等のアレルゲンに反応し、B細胞等の免疫細胞を活性化させ、抗体の産生をします。

Th2が指令を出す際に産生されるサイトカインを、インターフェロン4(IL-4)といいます。

 

「Th1細胞」と「Th2細胞」のバランスが大事

獲得免疫の司令塔である2種類の細胞ですが、どちらが働きすぎても問題が起きます。

なので、どちらか一方の反応が過剰にならないように、それぞれの細胞から分泌されるサイトカイン「IFN-γ」と「IL-4」が、お互いの働きを抑制し合うよう働いています。
そうして、Th1細胞とTh2細胞による獲得免疫のバランスは保たれているのです。

 

「Th1細胞」と「Th2細胞」のバランスが崩れると

Th1細胞の働きが過剰に強くなると、ウイルスやがん細胞の排除に使う力を自らの組織や細胞に対して使ってしまい、自己免疫疾患となってしまいます。
逆にTh2細胞が強すぎると、寄生虫排除に使う力を花粉やダニ、あるいは食物に含まれるそれほど強くないアレルゲンに対して使うことになります。

その結果、IgE抗体(ダニ、スギ花粉、卵白、蜂毒など様々なアレルゲンに対してそれだけに反応する(特異的)抗体として体内で作られている)が過剰に発現し、花粉症やアトピー性皮膚炎を引き起こします。

 

そして本題の妊娠と免疫です。

ここでは、先程ご紹介した「Th1細胞」と「Th2細胞」が大きく関わってきます。

 

妊娠と「Th1細胞」と「Th2細胞」

からだには、自己が非自己を排除しようとする働きである免疫(拒絶反応)が備わっています。

胎児は母体にとって”非自己(自分以外)“にあたるため、本来ならば免疫機能が働き拒絶反応してしまうところですが、妊娠の場合はそうならないよう「免疫寛容」が発動されます。
すなわち妊娠時は、胎児・胎盤を異物としてみなし攻撃するTh1細胞が減少し、Th2細胞が優位な状態になって、妊娠が継続されます。

しかし、「Th1細胞」と「Th2細胞」のバランスが崩れ、Th1細胞が優位になってしまうと、胎児を異物とみなして攻撃してしまうため、着床・妊娠継続しにくいと考えられているのです。

 

少しややこしい話でしたが、妊娠成立には免疫が関わっていることがご理解いただけたかと思います。

<参考>

Th1/Th2細胞検査

血中に含まれるTh1/Th2の比率を調べる血液検査。反復流産の場合や反復着床不全と診断された方に検査するクリニックが多い。

Th1/Th2の比率が10.3以上だった場合は、免疫抑制剤を内服し、血中のTh1値を下げてTh1とTh2の比率を調整します。
子宮内での胎児や胎盤に対する拒絶反応を抑制させることで、着床が期待できるようになります。

「イムバランス」の研究開発史

「麹菌発酵」から生まれた新成分「イムバランスR」

イムバランスの持つ力

「イムバランス」の免疫についての働きの一つを分かりやすく解説!

イムバランスRが免疫不均衡による難治性不妊症に及ぼす影響を確認 ~『アレルギーの臨床』2022年4月号にて論文掲載~

免疫と妊娠との関係

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