今年の2017年も7月2日から5日まで、スイス・ジュネーブで第33回ヨーロッパ生殖医学会(ESHRE)が開催されました。
そこで発表された論文を、少しずつですがご紹介してまいります。
タイミングから体外受精に直ちに移行するのは必須か?
人工授精は、女性側が卵管が通っていて、男性側が十分な運動精子が認められる場合でも、比較的シンプルで非侵襲的(からだを傷つけない)で、費用も安い選択肢として、勧められている。
適切なタイミングで、必要であれば卵巣刺激も行うことで、人工授精の累積妊娠率は向上することから、直ちに体外受精に移行することを回避することもできる。
【O-266】Prognostic factors influencing IUI success / N.Dhontl.
顕微授精の方が体外受精よりよいのか?
今や顕微授精は、非男性不妊や低卵巣予備能の患者にも用いられている。
顕微授精と体外受精の成績を比較した従来の研究では、必ずしも一致した見解は得られていない。
非男性不妊のカップルに顕微授精を施行することによって、体外受精と比較して受精率は向上するが、臨床的妊娠率に差異は認められなかった。
【O-270】Intracytoplasmic sperm injection versus conventional in vitro fertilization for non-male factor infertility and decreased ovarian reserve: a systematic review and meta-analysis
C.Wul, R.Bassil2, J.Haas2,3, E.Barzily3, D.Nayot2,R.casper2,4.
なお、ステップアップのタイミングについては、不妊治療第一人者のリプロダクションクリニック大阪・東京の松林秀彦先生が、次のようにおっしゃっています。
・35歳未満 タイミング3回→人工授精5-6回→体外受精
・36~37歳 (タイミング法は行わずすぐに)人工授精3-4回→体外受精
・38-39歳 (タイミング法は行わずすぐに)人工授精2回→体外受精
・40~42歳 (タイミング法は行わずすぐに)人工授精1回→体外受精
・43歳以上 すぐに体外受精
実際は、カップルそれぞれの、妊娠に対する考え方、気持ち、からだの状態、経済状態などによって選択されます。