妊活ブログ:受精卵のグレードのつけ方

不妊カウンセラーマツムラの妊活アドバイス

妊活ブログ:受精卵のグレードのつけ方

こんにちは。神戸の老舗妊活サポート専門ショップ「ながいきや本舗」店長兼不妊カウンセラーのマツムラです。
ようこそ、妊活ブログへ!

今回もぜひ最後までお付き合いくださいね。

さて今回のテーマは「受精卵のグレードのつけ方」です。

クリニックで体外受精や顕微授精をすると、卵子と精子を受精させ培養されますが、その際の受精卵の見た目をある指標で表します。

それがグレードであり、4分割と8分割のいわゆる初期胚はVeeck分類で、胚盤胞はGardner分類で、と段階によって使う分類法が違います。

なお、初期胚の評価も胚盤胞の評価も、Veeck分類、Gardner分類を元にしながら、独自の方法で評価されるクリニックもあります。

初期胚(4細胞期胚・8細胞期胚)のグレード

Veeck分類を採用。

採卵当日を0日とし、培養2日めの4細胞期胚(実際は2-6細胞)と、3日目の8細胞期胚(実際は6-10細胞)を、Grade1から5に分けます。

Grade1…細胞の形態が均等で、フラグメンテーションを認めない胚

Grade2…細胞の形態が均等で、わずかにフラグメンテーションを認める胚

Grade3…細胞の形態が不均等な胚。または少量のフラグメンテーションを認める胚

Grade4…細胞の形態が均等または不均等で、かなりのフラグメンテーションを認める胚

Grade5…細胞をほとんど認めず、フラグメンテーションが著しい胚

このように、Grade1が一番見た目がよい、ということになります。

なお、フラグメンテーションとは、核分裂を伴わず細胞質のみが分裂して生じた断片。

フラグメントとも言います。

発生原因は不明ですが、一般的に胚の中にフラグメンテーションの占める割合が高いと、着床率が低く、胎児への発生能力が低いとされています。

ただ、フラグメンテーションは再吸収され、なくなる場合もありますので、時間によってGradeは常に変わります。

胚盤胞のグレード

培養5-7日めの胚盤胞は、初期胚とは異なる、Gardner分類という方法で分類します。

単にGrade1、というわけではなく、胚盤胞の大きさ・内細胞塊(ICM)・栄養外胚葉(TE)の3つを組み合わせて評価します。

◎大きさ

1:初期胚盤胞(early):胚盤胞腔が全体の1/2以下

2:胚盤胞:胚盤胞腔が全体の1/2以上

3:完全胚盤胞(full):全体に広がったFull状態

4:拡張胚盤胞(expanded):胚盤胞腔容積がさらに拡張し、透明帯が薄くなりつつある

5:孵化中胚盤胞(hatching):TEが透明帯の外に脱出し始めている

6:孵化後胚盤胞(hatched):胚が完全に透明帯から脱出したもの

1から6の数字は、よい・わるいではなく、成長の段階を表すので、成長に従って数字が大きくなります。

そしてグレード3以上は、内細胞塊(ICM)と栄養外胚葉(TE)の状態をA、B、Cの3段階で評価します。

◎内細胞塊(ICM)

内細胞塊(inner cell mass:ICM)とは、胚盤胞の内側に形成される細胞集団で、赤ちゃんになる部分です。

こちらは評価を表し、Aが一番評価が高い、ということになります。

A:細胞同士が密に接し、細胞数が多い

B:細胞同士の密着が粗で、細胞数が少ない

C:細胞数が非常に少ない

◎栄養外胚葉(TE)

栄養外胚葉(Trophectoderm:TE)は、胚の外側を包み、後に胎盤になる部分です。

こちらも評価を表し、Aが一番評価が高い、ということになります。

A:細胞数が多く互いに接着した上皮を形成している

B:細胞数が少なく、結合が粗な上皮を形成している

C:数が少ない、大きな細胞が上皮を形成している

このように、大きさ・内細胞塊(ICM)・栄養外胚葉(TE)をそれぞれ評価し、組み合わせて総合評価とします。

例えば、グレードが良い胚盤胞は、4AAとか5AA、といったAが2つ続くものになります。

逆に、4CC、5CCは、グレードが悪い胚盤胞と評価されます。

グレードによる妊娠や染色体異常

グレードによる妊娠や染色体異常

一般的にはグレードが高いほうが妊娠率は高いと言われていますが、この評価はあくまでも見た目での評価なので、肝心の中身、つまり質が良いかどうかは本当のところはわかりません。

子宮内膜の状態も関係しますので、同じ評価の胚でも、妊娠する場合もあれば、妊娠しない場合もあります。

また、染色体異常があるかどうかもわかりません。評価の高い胚盤胞にも、染色体異常が一定の割合で含まれています。

リプロダクションクリニック大阪の松林秀彦先生は、アメリカのHum Reprod 2014;29:1173の報告から

「妊娠できる胚の評価として、形態分類や成長速度はあてにならず、染色体異常のない胚であれば等しく妊娠(着床)できる」とし、「AAの方がCCより染色体が正常である確率が2倍になりますので、妊娠に結びつく可能性も2倍になる」とはいえ、「「悪い胚」であるとレッテルを張られてしまった胚にも本当は妊娠できる胚がある」とおっしゃっています。

成長が遅いから、とか、グレードが低いからといって、胚を廃棄するのは、もったいないのかもしれませんね。

▼参照
不妊症 – 日本産科婦人科学会

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

監修:日本不妊カウンセリング学会認定 不妊カウンセラー 松村恭子


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