膣内にも細菌が生息していて、乳酸菌などの善玉菌が優勢な状態を「膣内フローラが整っている状態」といい、膣内が弱酸性に保たれ、細菌性膣炎や性感染症、尿路感染症の原因となる悪玉菌の侵入を防いだり、繁殖することを防いだりして、膣を清潔に保つことができます。これを膣の自浄作用といいます。
でも、疲れが取れなかったり、不規則な生活が続いたり、ストレスが過剰になると、膣内の乳酸菌が減って悪玉菌が増えやすくなります。
それが、おりものの異常や膣炎が再発を引き起こすのです。
そうなると、かゆみや痛みが生じ、日常生活がスムーズではなくなります。
それだけでなく、このような状態が続くと、不妊のリスクの一つと言われる「慢性子宮内膜炎」を引き起こす可能性も。
慢性子宮内膜炎になると、子宮内膜で免疫活動が活発になり、受精胚を異物として攻撃してしまい、着床しづらくなるのです。
また、かゆみや痛みなどの強い症状がなくても、細菌性腟症を発症している場合があります。
細菌性腟症は早産のリスクを高める可能性があるとされ、米国の研究では約3割の女性が発症し、その8割以上に自覚症状がないといわれています。
そして閉経後はエストロゲンが減少するため、乳酸菌が減少して膣内フローラが乱れ、膣の中は中性になり、自浄作用が弱くなってしまいます。
そのために細菌感染が起こりやすくなり、萎縮性膣炎をひきおこします。
一つの目安は、デリケートゾーンのにおい。においが気になるようであれば、もしいたみやかゆみがなくても、病院で診察を受けた方がいいです。
このように膣内フローラの乱れは、妊娠のしづらさや妊娠維持の難しさ、そして閉経後の女性のQOLに関連しているので、しっかり気を付けたいところです。