不妊かどうか検査する項目について、いつも勉強させていただいている、リプロダクションクリニック大阪・東京の松林秀彦先生のブログから引用させていただきます。
検査をせずに、自分達だけでタイミングのみ行うことは、厳しい言い方をすると「時間の浪費」につながる場合があります。
例えば、卵管が詰まっていたら、たとえタイミングが合っていても妊娠できません。
これまた厳しいですが、女性が35歳以上の場合は、妊娠したいと思ったらすぐに、まず検査を受けた方がいいと思います。
参考になさっていただけると幸いです。
不妊症一般検査に関する米国生殖医学会(ASRM)の公式見解です。
Fertil Steril 2021; 116: 1255(ASRM)doi: 10.1016/j.fertnstert.2021.08.038
要約:
1 不妊症一般検査は、不妊を引き起こす可能性の既往歴のある方はすぐに実施すべきです(月経不順、無月経、子宮疾患、卵管疾患、腹膜炎、子宮内膜症、男性不妊、性交障害、ターナー症候群、抗癌剤、放射線治療など)。
2 不妊症一般検査は、女性が35歳未満では1年、35歳以上では半年経っても妊娠しない場合に実施すべきです。40歳以上ではすぐに検査と治療が必要です。
3 不妊症一般検査は、排卵検査、卵管通過性、精液検査を含むべきです。
4 可能な限り、男女並行して検査すべきです。
5 卵管通過性の検査には、卵管造影あるいはソノヒステログラフィーが推奨されます。
6 月経周期が21〜35日で一定している場合には、追加の排卵検査は不要です(ただし、多毛の場合を除く)。
7 不妊症の基準を満たしていない方にはAMH検査(卵巣予備能)をルーチンにすべきではありませんが、不妊症の基準を満たしている方にはAMH検査をすべきです。
8 ドナー精子を用いた治療、不育症、妊娠経験があってもPGT-A胚を用いた治療をされる場合には、不妊症一般検査の実施が正当化されます。
9 遺伝性疾患のある方やPGT-Aを必要とされる方では、不妊症一般検査の実施が正当化されます。
10 腹腔鏡検査、精子精密検査、フーナー検査、血液凝固検査、免疫学的検査、染色体検査、子宮内膜検査、プロラクチン検査は、ルーチン検査としては推奨されません。
引用先:松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ ☆不妊症一般検査について:ASRMの見解