こんにちは。神戸の老舗妊活サポート専門ショップ「ながいきや本舗」店長兼不妊カウンセラーのマツムラです。
ようこそ、妊活ブログへ!今回も最後までお付き合いくださいね。
さて今回は、卵巣の血流と体外受精の結果についてのお話です。
ながいきや本舗にも、なかなか良い卵子が採れなくて・・・といったご相談が多いのですが、いろいろお聞きしたところ、日常的に冷えを感じていらっしゃる方が多いです。
これは理論の前の私の「実感」なのですが、実際に、福岡のIVF詠田クリニックの詠田由美先生が、卵巣血流と体外受精の結果について調べていらっしゃいますので、ここでご紹介させていただこうと思います。
詠田先生の発表によると
「超音波断層法を用いたARTでの研究では、卵胞周囲の血流はART治療の妊娠予後に関与し、血流の豊富な卵胞から得られた卵からのみ妊娠例を得たと報告され、卵巣血流と卵の質の関連が示唆されている。」
とし、
「卵巣血流の変化は、卵巣内外での物質動態に影響を及ぼすと考えられ、薬物動態により卵巣血流を推測することが可能である。」
ということで、以下の方法で卵巣血流を測られています。
<方法>
採卵前36時間に投与したhCGが、採卵時に卵胞液の中にどれくらい移行しているかを検査。(卵巣血流動態観察法<hCG拡散率>)
<結果>
卵巣刺激法は「ゴナドトロピン療法(hMG-hCG療法)※」 を用いた。
● hMGへの反応や採卵数の低下が認められた場合に、hCGを見ると、hCG拡散率も低下していた。よって、卵巣血流の低下が示唆された。
● 男性因子のない未受精周期では、同様にhCG拡散率の低下を示した。
● 年齢が上昇するに従い、hCG拡散率は低下し、特に40歳以上ではきわめてhCG拡散率は不良となった。
● 卵巣手術既往例では、卵巣のhCG拡散低下が認められた。
<結論>
加齢、手術既往、卵巣周囲癒着など、様々な要因で卵巣血流は低下する。また、原因不明の突発性卵巣血流不全症例も存在する。
ART治療成績を改善するには、血流低下の要因除去や慢性的な卵巣血流不全の改善が必要と考えられる。
このように、不妊治療の現場でデータとして、良い卵を採るためには卵巣の血流を良くすることが大切、ということが判明しています。
お薬を大量に投与したとしても、血流が悪ければ、お薬の効果を発揮することができないのです。
最近は、寒い冬だけでなく、暑い夏でも冷房でからだが冷える、つまり血流が悪くなることが多いです。
血流については、季節を問わず一年中気をつけたいファクターですね。
※ゴナドトロピン療法(hMG-hCG療法)
排卵がうまくいかない場合、閉経後の女性の尿から抽出したhMG(human menopausal gonadotropin)というホルモン剤を投与することで、卵巣を刺激し排卵を促す方法。
そのままだと排卵しないことも多いため、LH作用をもつhCGを注射してLHサージを人工的に起こし、排卵へ導きます。
▼参照:
IVF詠田クリニック 詠田由美 「卵巣血流不全に起因したpoor responderに対する血流改善治療の試み」(日本生殖医学会誌51巻4号)