大麻(マリファナ)が女性の生殖能力にリスクをもたらす可能性が、最新の研究で示唆された。この研究は、大麻と女性の生殖能力との関係を検証したさきがけの1つだ。論文は2025年9月9日付けで学術誌「Nature Communications」に掲載された。
「大麻は植物なので自然のもの、だから他のドラッグほど危険ではない、と思っている人もいるかもしれません。でも、大麻は卵母細胞(卵子の元になる細胞)に影響を及ぼす可能性があることを知っておいてほしいのです」と、論文の筆頭筆者で、カナダ、CReATE生殖医療センターで臨床エンブリオロジスト(不妊治療の専門技術者)を務めるシンティア・デュバル氏は語る。
「2025年9月12日 ナショナルジオグラフィック日本版より抜粋」
卵子の形成過程で、精子ではすでに報告多数 今わかっていること
研究発表
・2025年9月9日付「Nature Communications」に掲載。
・大麻(マリファナ)が女性の生殖能力にリスクをもたらす可能性を指摘。
・卵母細胞(卵子のもとになる細胞)にTHCが影響を及ぼす可能性。
研究内容
・対象:体外受精(IVF)の患者や卵子提供者。
・卵胞液に含まれるTHCやその代謝産物が多いほど、卵母細胞の成熟が早まる。
・成熟速度の乱れは、染色体異常や胚の正常発育阻害につながる。
・未成熟卵母細胞にTHCを加えると染色体分裂が乱れやすい。
研究の限界
・年齢など他の要因を完全には除外できていない。
・「大麻を使うと妊娠できない」と断定するものではない。
男性の研究例との比較
・2019年「The Journal of Urology」:大麻使用男性は精子数が29%少ない。
・2014年「Human Reproduction」:奇形精子が多い傾向。
・男性の研究が多いのは精子検査の方が容易だから。
THCと妊娠への影響
・カンナビノイドは体内でも作られ、妊娠過程に重要。
・THCがこのシステムを乱すと、胚の移動・着床に悪影響を及ぼす可能性。
・正確なメカニズムや摂取方法の違いによる影響は未解明。
専門家コメント
・「大麻は自然だから安全」という認識は誤解の可能性。
・今回の研究で、卵母細胞にも悪影響が示唆された。