こんにちは。神戸の妊活専門ショップ「ながいきや本舗」店長兼不妊カウンセラーのマツムラです。
ようこそ、妊活ブログへ!今回もぜひ最後までお付き合いくださいね。
さて今回は、40代の受精卵について。
この近年、受精卵の凍結技術が進み、今では採卵→受精→移植の新鮮胚移植よりも、採卵→受精→凍結の採卵周期と、移植の移植周期を分ける凍結胚移植の方が多くなってきました。
そうすると今度は、胚をどの段階で凍結させるか、それが気になりますね。
特に、40代の方からのお話を最近よくお伺いします。
もちろん、どの段階で凍結するかは、その方それぞれ。年齢だけでなく、おからだの状態、状況に応じて、臨機応変にドクターが対応されていますが、一般的にはどのように考えられているのでしょうか?
私個人としても疑問に感じましたので、ここでまとめてみたいと思います。
そもそもどのような状態でたまごちゃんをお腹に戻すのが一番よいのでしょう?
そもそも凍結初期胚と凍結胚盤胞、どちらが良いのか?
多くの論文やクリニックの臨床によって、凍結胚盤胞の方が凍結初期胚よりも妊娠率が高いことがわかっています。
それは、初期胚から胚盤胞までの過程の中で、より成長でき移植にふさわしい胚を選ぶことができるからです。
つまり、胚盤胞自体が妊娠率を高めるというよりも、「予選で胚を絞り込んでいるので妊娠率が高くなったように見えるだけ」なのです。
(引用:浅田義正・河合蘭著「不妊治療を考えたら読む本」)
40代はどっち?
とはいえ、胚盤胞まで育つだろうと期待しても育たない場合が、どうしてもあります。
正常に受精 ・分割しても、良好な胚盤胞まで育つのは約30%前後、としているクリニックもあります。
また、浅田レディースクリニックさんのデータによると、30歳以下の女性の卵子は2-3個に1個の割合で、胚盤胞移植に使える良好胚盤胞に育ちますが、43歳以上の女性の卵子では5-6個に1個になってしまいます。
なので、全て胚盤胞で凍結しようと思っても、全部胚盤胞にならず、移植のチャンスを逃してしまう、ということもありえます。
卵子が多い場合はそれでも次回の機会が望めますが、卵子が少ない場合は移植のチャンスを減らすだけで、もったいないと言えます。
よって40代の場合は、胚盤胞移植にこだわる必要はなく、凍結初期胚でも有効です。
たまごちゃんが育たない場合もある。戻せないリスクを考える。
培養液は各段に進歩し、培養技術は体内の環境に極限まで近づけていますが、からだの外で分割するのとからだの中で分割するのではその環境はわずかに違い、やはりからだの中で分割する方が、胚にとっては優れた環境です。
両角レディースクリニックの両角和人先生によると、年齢が低いと、そのわずかの差は胚自身の力で修正することができるため、体外も体内もどちらで培養しても変化がない様になっていますが、40代になると、そのわずかな違いが胚の発育に影響を与えてくると言える。なので、体外で胚盤胞ができいない方は、初期胚で移植をして体内で育てる方法が好ましいということになる、とのことです。
もう一つ、同じく両角先生は、胚盤胞は凍結融解に弱いという点を挙げられています。
胚盤胞は、その発育の過程で構造的に内腔に水が入り拡張してきます。
その胚盤胞を凍結させる際には瞬間的に脱水させ、融解の場合にはその逆のことを行います。
40代の胚盤胞は、これらの過程において対応する機能が追いついてこないことがある、つまり凍結融解に対して弱いということが言えるのです。
なお、初期胚は胚盤胞と違い、そこまでこれらの影響は受けないそうです。
40代の移植方法
浅田レディースクリニックでは、40代の方の場合は、基本的に全て受精直後の胚の「前核期胚」の状態で凍結するそうです。
また、リプロダクションクリニックでは、45歳前後で妊娠される方の多くが凍結初期胚の2個移植、ということで、凍結初期胚の2個移植が有効とされています。
凍結技術がまだ進んでいなかった時代は、前核期や細胞分裂が始まった分割期で凍結するのが一般的でしたが、実はその時期が一番凍結に強いそうです。
前述の浅田レディースクリニック院長の浅田先生は、ご著書の中で「正常な受精ができたことが認められた胚であれば、どれも大切に育てて、一つでも多くの胚にチャンスを与えたい」とおっしゃっています。
胚盤胞にこだわりすぎず、移植の機会を減らすことのないよう臨機応変に対応することこそ、40代にできる賢い妊娠なのかもしれません。
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参照:
胚盤胞とは
両角レディースクリニック 両角和人のブログ
リプロダクションクリニック大阪 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ
浅田義正・河合蘭著「不妊治療を考えたら読む本」
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