子宮内膜の着床環境が整わない原因として、子宮内膜下にある子宮放射状動脈という、栄養やホルモンを子宮に運ぶ動脈の血流が、月経周期の初めから低下していることが分かって来ました。
この血流の低下は、結果として子宮内膜の血管の新生を阻害し、それが原因で、また血流が低下する・・・という悪循環を引き起こし、子宮内膜の発育不全という結果をもたらします。
逆を言うと、受精卵が子宮内膜に着床し妊娠が維持されるためには、子宮内膜の血流を良くしておくことが大切だということです。
子宮内膜について「ふかふかベッド」と表現されることがよくありますが、この「ふかふか」とは厚みだけでなく、血流も関係してくるのです。
ここで少し、子宮内膜の成り立ちについておさらいを。
子宮内膜は、卵巣内の卵胞の成長にともない、変化をしていきます。
【増殖期】
月経により前の周期の子宮内膜が排出された後、次の排卵に向けて再び厚くなる時期です。
卵巣内で育つ卵胞から分泌されるエストロゲンによって、だんだんと厚みをましていきます。
【分泌期】
厚くなった後、今度は内部が成熟して、受精卵の着床を待つ時期です。
卵巣内の卵胞は排卵すると、黄体に変化しプロゲステロンを分泌します。
このプロゲステロンによって、子宮内膜の内部が成熟していきます。
【月経期】
月経によって子宮内膜が剥がれ落ち、体外へ排出される時期。
待機期間を過ぎても妊娠が成立しなかった場合
黄体の寿命が尽きてエストロゲン・プロゲステロンの分泌が止まり
保持できなくなった子宮内膜は脱落し、月経として体外に排出されます。
このように子宮内膜の形成は、排卵後だけでなく、増殖期、つまり、卵胞が排卵に向けて育ち始める時から始まっています。
その子宮内膜に形成にとって、大切な血流も、排卵後だけでなく、その前の増殖期から大切です。
つまり、着床のための子宮内膜の準備は卵胞期からすでに始まっていて、どの時期においても血流は非常に大切なファクター、ということです。
ただし、この血流を良くする、というのは、単にからだを温める、ということではありません。
からだを温めるということと、血流を良くする、ということは、常にイコールではないからです。
あくまでも「血流を良くする」ということに、意識を向けてください。