子宮内膜には受精卵を受け入れる期間があります。その期間以外では子宮内膜は受精卵を受け入れることが難しくなります。
この期間を「着床の窓」(Window Of Implantation)と言い、その時期や期間は人それぞれ違います。
体外受精の際、着床の窓に合わせて受精卵を移植することで、妊娠の成立の可能性が高まります。
着床の窓は、月経周期によって基本的には変化しないとされています。
ただ中には、妊娠分娩後や流産後に、着床の窓が変化した方もいらっしゃいます。
なお化学流産は、しっかり着床の窓が合っていることにはなりません。
自然妊娠歴(タイミング・人工授精を含む)は、胚の成長スピードが不明(排卵何日目に胚盤胞になったのか不明)なので、自然妊娠歴があることが着床の窓のズレがない証明にはなりません。
現在では、「子宮内膜受容能検査」といって、着床の窓がいつかを検査して調べることができます。
それが、2011年に出たスペインのIgenomics社のERA検査と、2020年に日本で認可された、アメリカのCooper Surgical社のERPeak 検査です。
ERA法は、ホルモン剤を投与して子宮内膜を厚くし、5日目に子宮内膜を採取して着床の窓を確認します。
ERPeak法は、子宮内膜組織を採取して関連する遺伝子の発現量を調べます。
細い管を膣から子宮内へ挿入して組織を採取して行い、検査結果はおおよそ2、3週間後になります。
ERAに比べ検体量が少なくても判定可能なのが特徴です。
ただ近年、ERA検査に否定的な論文が増えており、ERA検査に基づく凍結胚移植の有効性に疑問が生じているようです。
ERA法もERPeak法も保険適用ではありませんが、「先進医療」といって保険適用治療と同時に行うことができます。
この検査の対象者については、多くのクリニックが、
● 体外受精や顕微授精で比較的良好な胚を数回移植しても、着床しなかったり、化学流産を繰り返す方
● 子宮内膜が慢性子宮内膜炎だと着床の窓がずれるので、この慢性子宮内膜炎がない方、もしくは治療された方
を対象としています。